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降るプラチナ
/新居昭乃
- ビクターエンタテインメント VICL-60549 (2000.05.24) ¥3045 [CD]
- フライングドック VTCL-60153 (2012.04.25) ¥3045 [CD]
- フライングドッグ - (2015.09.02) ¥3240 [【K2HD】WAV/FLAC配信]
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曲名 |
作詞 |
作曲 |
編曲 |
[時間]歌手 |
1 |
スプートニク |
新居昭乃 |
新居昭乃・保刈久明 |
保刈久明 |
[4'58"]新居昭乃 |
2 |
願い事 |
新居昭乃 |
新居昭乃 |
松林正志・保刈久明 |
[4'54"]新居昭乃 |
3 |
ガレキの楽園 |
新居昭乃 |
新居昭乃 |
保刈久明・新居昭乃 |
[5'13"]新居昭乃 |
4 |
Flower |
新居昭乃 |
新居昭乃 |
保刈久明 |
[5'08"]新居昭乃 |
5 |
Orange Noel |
新居昭乃 |
新居昭乃 |
保刈久明 |
[4'19"]新居昭乃 |
6 |
愛の温度 |
新居昭乃 |
新居昭乃 |
保刈久明・新居昭乃 |
[3'53"]新居昭乃 |
7 |
Reve |
Passiflore Baldassari |
新居昭乃 |
松林正志・保刈久明・新居昭乃 |
[4'10"]新居昭乃 |
8 |
音叉 |
新居昭乃 |
新居昭乃 |
保刈久明・新居昭乃 |
[5'06"]新居昭乃 |
9 |
赤い砂 白い花 |
新居昭乃 |
新居昭乃 |
− |
[1'05"]新居昭乃 |
10 |
降るプラチナ |
新居昭乃 |
新居昭乃 |
保刈久明 |
[5'51"]新居昭乃 |
11 |
メロディ |
新居昭乃 |
新居昭乃・保刈久明 |
保刈久明 |
[3'53"]新居昭乃 |
- [Musician]
- Ambient Vocals : 葛生千夏 (2)
- Bass : 渡辺等 (1,2,3,8)、宗秀治 (5)
- Cello : 四家卯大 (6)
- Cembalo & Piano : 新居昭乃 (10)
- Chimes : 新居昭乃 (4)
- Drums : 佐野康夫 (1,3,5)
- E.Guitar & Programming : 保刈久明 (1,5)
- Flugel Horn : 沢渡博敬 (10)
- Guitar & Programming : 保刈久明 (2)
- Keyboards : 細見魚※ (2)
- Omnichord : 新居昭乃 (1)
- Organ & Wurlitzer : 細見魚※ (4)
- Percussion : ASA-CHANG (2,11)
- Programming : 保刈久明 (3,4,6,7,8,10)
- R.Guitar : 堀越信泰 (1,3,5)、今堀恒雄 (11)
- Rhythm Tracks : 松林正志 (2,7)
- Russian Voice : Vadim Schirokov (1)
- Strings : 弦一徹Strings (7,8)
- Strings Quartet : 桑野聖Quartet (3)
- Synthesizer Manipulate : 坂元俊介 (5,6)
- Wurlitzer : 新居昭乃 (8)
※ブックレットでは「細見魚」となっていますが、
「細海魚」が正しいと思われます。
[Staff]
- Produced : 新居昭乃、保刈久明
- Co-Produced & Mixed : 松林正志
- Recorded : 松林正志(Except M-6)、河上達也(M-6) at Magnet Studio,
PLANET STUDIO、Victor Studio、鯛スタ、ホst
- Assisted : Magnet Studio/三宅敬子、PLANET STUDIO/小菅慎一、
鯛スタ/片岡恭久、Victor Studio/安田博城,高津輝幸
- Musician Coordinated : 間谷典子 (MUSIC LAND)
- Mastered : Greg Calbi (Sterling Sound N.Y.)
- Co-ordinated : Cherry Kaoru Hulsey (BLUE SUN FILM)
- Art Direction, Photographs & Drawing : 吉田直之 (NRS516)
- Designed : 吉田直之+吉積里枝 (NRS516)
- Editing : 村上美佐
- Directed : 井上裕香子
- Promotion Directed : 斉藤裕、菅原貴範
- Sales Promoted : 山田哲也、山下宏
- Executive Producer : 佐々木史朗、金子秀昭
[Misc.]
- Thanks! : 澤井、西尾 & Maika (SISTEMA)、Shu & Rie、
モロッコチーム、三重野瞳、錦織貴子、ボーダーライン、安部芳敏(ON-AIR)、
小川竜朗(CREEDENCE)、Canadian coffee琲珈里、Nahoko
オリジナル3rdアルバムです。本アルバムに関しては、たくさんの情報が
メディア(ホームページ、ラジオ、雑誌など)を通して流されましたので、
個々にまとめておきます。
- 【概説・コンセプト】
- 当初は、「ドラキュラ(仮題)」「ラプンツェル(仮題)」といった曲を収録
するような漠然としたイメージで語られていたアルバムでしたが、
本人談「明るい雨。小高い丘。足もとからクリーム色のれんがが
ちょっとした植物園までつづいていて、
その奥には少女がしゃがみこんでいる。って感じの絵です」
と初めて重要なキーワード「明るい雨」が披露された。
- ここに至るには、いきさつが存在する。98年春頃、アルバム製作の具体的
な話をはじめた時、ディレクターから
「なにか核になるコンセプトってある?」と聞かれた時には、
昭乃さん自身全く何もなく、ただ漠然と曲が揃い始めても
決まっていなかった。
ただ曲を創っていく過程で昭乃さん自身が気がついた事があった。
それが今回一番重要なテーマとなる「浄化」である。
- 「自分と向き合う」と言うか「悲しみとかに、めげないで、
ちゃんと向き合っていずれはそれを昇華させて、
体の中から浄化していこう」という想いである。
そして決定的な出来事に昭乃さんは遭遇する。
夕日がまぶしく、明るすぎて何にも見えないような、
見慣れた景色が別のものになって見えるような、暑い夏の日の夕方、
公園の森の中を散歩していた時である。急に天気雨が降ってきて、
それは見事に無数の雨の粒が一斉にきらめいて、
しばらく呆けたように昭乃さんは見とれていた。
それこそこの世のすべてを浄化してくれるような光であった。
- まもなく土砂降りになって、あわてて屋根のある所に雨宿りしてながら、
感慨にふけっている間にアルバムのタイトルが浮かんだ。
早速その夜、プロデューサの保刈さん、エンジニアの松林さん、
ディレクタ井上さんを集め立ち上がって発表した、「降るプラチナ」と。
- 今回、音の責任者プロデューサとして昭乃さんが絶対的な信頼を寄せる
保刈さんに依頼している。昭乃さんが曲を創って
「この曲は、聴いてるとこういう風な気持ちになれるようにしたい」
みたいな抽象的なオーダーに対して、保刈さんは、
「絵を描くような気持ちで、創った音を足していった」そうである。
ある程度出来たところで昭乃さんが聴いてみると
「あーこれ、こんな感じ」と思い通りだった。
- こういうやり方で昭乃さんは、自分の曲をイメージ通りに
アレンジしてもらう事が今まで無かったが
「今回は、かなりイメージ通りに出来た」と言う満足感、
達成感を感じており、「保刈君には感謝をしてる」と述べられている。
- 本人談「今回のアルバムには、自分の好きなものを、
とにかく詰め込んでみたいと思ってます。透きとおってるもの、
きらきらするもの、SF、古い映画、工業地帯……etc。
そういったものを通して、純粋であることなどを歌にできたらすごく
いいなって考えています。そして全体を通して表現したかったことは、
物事を「浄化」または「昇華」させていく心の過程です。
- そしてごく一部の人にしか理解できない抽象画ではなく、
誰にでも風景が見えてくるものにしたい、
質の高いファンタジー小説のように、人から人へ伝わっていくような
アルバムにしたいと、一貫して考えて創りました」
- 【レコーディング】
- 今回のレコーディングは、ドラムに佐野康夫さん、ベースに渡辺等さん、
シンセに坂元俊介さん ギターに保刈久明さん、堀越信泰さん等、
気心しれた安心メンバーで行われました。
そして坂元さんのお友達の、アーティストでありキーボーディストでも
ある細海魚さんが初参加で1曲弾いている。
- 昭乃さん自身は「なんだかとっても世界が広がりました。
今回のレコーディングの大収穫です」とコメントされている。
「鍵盤」というと、菅野よう子さんに頼りきっていた昭乃さんでしたが、
今回は殆どご自身で弾かれました。
- 細海さんが持ってきたかわいいシンセ(オムニコード)がとってもいい音で、
「スプートニク」の中で昭乃さん自身も使わせてもらったそうです。
その「スプートニク」では、イントロにいれるロシア語のセリフが
欲しくて千葉大学外国語センターでロシア語を教えていらっしゃる
ワジムシローコフさん(NHKロシア語講座に出演)に依頼、
ワジムさんは昭乃さんのオーダーにあわせて、ちょっと悲しい
トーンにしたり、宇宙通信ぽいトーンにしたり絶妙な演技を
ご披露されたようです。
- 2000年1月末にニューヨークに行ってマスタリングを実施しました。
昭乃さんが99年一年間通して一番好きだったトリッキーのアルバムを
マスタリングしたエンジニアがいるニューヨークの
ステアリングサウンドです。昭乃さんが「今、もしかして世界で一番
マスタリングがうまいスタジオなのかなぁ」思っているところのようです。
ニューヨークでマスタリングすることはレコーディングの前から
エンジニアの人と決めていたようで、昭乃さんはなるべく予算を
切り詰めるようにして、声は殆ど自宅のいつもデモテープを作っている
設備で録音されたりしています。
- 【キャッチコピー】
- 確実にアーティストとして認知されてきた新居昭乃。
今、彼女が伝えたい事を精一杯つめこんだオリジナル3rdアルバム。
- 【特典】
- アニメイト布施店(大阪)で予約すると抽選で「新居昭乃(秘)お宝グッズ」
(実際は他店でも配布されたポストカードだったようです)が
プレゼントされた。
アドカード(ポストカード状のチラシ)は、お店やライブ会場で購入者に
配付、一部のお店では無料配付もされていました。ポスターは、
ライブ会場で購入すると貰えました。
フライヤー(チラシ)はお店で無料配付されていました。
- 【販促グッツ】
- 過去2枚分のアルバムといっしょに並べて置くことができるCDの販促
ディスプレイが存在します。(左から「空の森」「降るプラチナ」
「そらの庭」の順に展示できる)
- ポスターやパネルもあり、昭乃さん直筆サイン入りが存在します。
(発売日にご自身が都内のお店を偵察して、サインしてきたモノ)
- 【イベント】
- インストア・ライヴ&サイン会
- サイン会
- 99.6. 3 HMV阿倍野店(大阪府 大阪市)/
HMV三宮店(兵庫県 神戸市)
- 99.6. 4 ディスクピア日本橋店/アニメイトベルタ店/
ディスクピア梅田店
- 【セールス】
- オリコン アルバムチャート
- 6/5付 32位(9900/ 9900枚)
- 6/12付 79位(3320/13220枚)
- 【ジャケットについて】
- 「共産圏の古いSF映画のようなジャケットにしたい」との希望より
ソビエトSF映画(惑星ソラリス)をイメージして製作されました。
- 本人談「映画のパンフレット見てるみたいなジャケットになるといいな」
- ジャケット写真撮影は、ジャケットデザインプロデュースを手掛ける
NRS516のよしださん(「だ」にアクセントがポイント!)と、
りえさんが担当しました。
- 二人と昭乃さんはGoddess in the Morningからのお知り合いで、「空の森」
「そらの庭」も彼らの作品です。
- 撮影には、一泊二日のロケを慣行。ロケ場所は、自然と工場等の
メタルな感じが不思議な共存をみせる茨城県(鹿島)の海岸です。
撮影当日は、ニューヨークのマスタリングに引き続き
「極寒」そして「ニオイ地獄」。
- 本人談「私は暑いのも(「空の森」では灼熱地獄だった)ケミカルな匂いも
耐えられるけど、寒いのが全くダメ。「もうダメだ……」って
何度思ったでしょう。たぶん、ジャケットにも温度の低さが充分出てると
思います。でも、一番寒くて気が遠くなりながら撮ったシーンは
使われなかった……。そういうものなのね」
- 裏ジャケットに写ってるカプセルの中にある植物の名前は「チランジア」です。
一般に「エアプランツ」と呼ばれている、空気中の水分を吸って生きていく
植物で、土や水とかに入れなくて良い植物です。
- 【誤植】
- 初回分のジャケットのミュージシャンクレジットに誤りがあります。
「願い事」「音叉」はベースの渡辺等さんが演奏していますがクレジットが
もれております。また「降るプラチナ」にはベースは入っていません。
- 【雑誌】
- ANIMEDIC park Vol.39 (00.5.20発行) [星光堂] インタビュー、本人による全曲紹介
- AX 2000年6月号 No.27 [ソニー・マガジンズ] (P.106) インタビュー
- Casty(アニメイトの声優ファン情報誌) 第8号(00.5.1発行) [アニメイト] 「降るプラチナ」発売インタビュー
- hm3 Vol.13 隔月刊化第2号 2000年 [音楽専科社] (P.116〜117) インタビュー
- HMV the music master No.93 2000年5-6月号 [HMV] (P.68) 解説
- MUSIC MAGAZINE 2000年6月号 [ミュージック・マガジン] (P.96) インタビュー
- Newtype 2000年7月号 [KADOKAWA] (P.190) インタビュー
- Pict-up 演劇ぶっく 2000年6月号臨時増刊#4 [ピクトアップ] (P.90〜91) インタビュー
- Stereo 2000年6月保存版増大号 [音楽之友社] (P.16) 解説
- UNGA! MUSIC FREE PAPER No.071 (00.6.30発行) [UNGA!編集部] (P.37) インタビュー
- アニメディア 2000年7月号 [学研プラス] (P.56) インタビュー
- “オリコン”ウィーク ザ・1番 2000年6月12日号 Vol.22 No.21 [オリコン・エンタテインメント] (P.88) インタビュー
- ロマンアルバムボイスアニメージュ Vol.32 [徳間書店] (P.91) 解説
- bounce 210 JUNE 2000 [TOWER RECORDS] (P.97) CD評
- 【ハイレゾ音源】
- 16bit/44.1kHzのマスター音源をビクタースタジオFLAIRが有するオリジナル技術
『K2HDプロセッシング』を用いてハイレゾ化したものがダウンロード販売
されています。
- WAV:96kHz/24bit、FLAC:96kHz/24bitの2種類が用意されています。アルバム購入
3,240円、1曲あたり540円となっています。
http://hd-music.info/album.cgi/6145
ラジオ・ホームページ等で語られた内容より曲解説します。
(主にアニメディックパーク及びビクターホームページより引用編集)
- [スプートニク]
- 毛利さんも2度目の宇宙で活躍され、スペースシャトルの打ち上げシーンも
見慣れたはずなのに、地球の重力に逆らって空を目指す姿には今でも鳥肌が
たちます。ラジオでは話しましたが、スプートニクというのはご存知の
とおり、旧ソ連のロケットです。
- 私の敬愛するビクターのディレクターと、
二人でご飯を食べて、帰りにおうちの近くに行った時の事です。
ロシアがソ連だった頃のロケット宇宙計画というんでしょうか?
アメリカとすごい競っていた時代があって、ソ連の一番最初のスプートニク
っていうロケットにライカ犬が乗せられていたっていう話を聞いたらしく……
私も、そういう話は何か聞いたことがあるし、そういうなんかヘルメットを
かぶったライカ犬の写真を見た事あるぞ。とか思ったんだけど……
それで、そのライカ犬ってもう帰ってこれないって分かっているのに、
1週間分の食糧とかだけを積んで打ち上げられて、宇宙の遠くに消えて
いったんだと思うと……って泣いてるわけです。
- 私は「あぁ確かに……」と思ったけど……
「ある意味、本当の意味で星になっちゃったりするわけですよね」とか言って、
「そうだよね」って思って、どこかの軌道を回ってたりもするのかも
しれないと思ったりするうちにですね、私もなんかスプートニクという響きと
ライカ犬という響きと、宇宙とか「帰って来れない」とかそういうものが
合わさって歌詞ができました。
- その後、本屋さんで探したら荒俣宏さんの
「スプートニク」という本まで見つけてしまいました。ソ連のロケット基地の
写真、ライカ犬が宇宙服を着せられている写真だの、久々に大きく心が
動きました。歌の中に出ている「クローカー」っていう犬の名前とか、
ヒントをもらったんですけれど。この本は、よーく見ると、いっちばん最後に
物凄いちっちゃい字で、「フィクションです」って書いてあるんですが……。
- スプートニクという人類初のロケットに、それも帰ってくる予定のない
ロケットに乗せられたライカ犬が、自分ではどうすることもできない運命の
ようなものに、どんなに望んでも手の届かないものに、たぶん、どんなに
絶望しただろうと思って、創った曲なんです。そしてロケットに乗せられて
宇宙に飛ばされたライカ犬のことを、恋人が去っていくシーンと重ねて歌詞に
してみたんです。
- イントロでのロシア語は、ロシア人のエフトゥシェンコの詩の世界を、
(日本語でしか私持ってなかったんだけど)それをロシア語に訳して
セリフにして言ってもらったんです。ちょっと寂しい内容の詩なんだけど
想像してみて下さい。「そして一人の男が死ぬ時 彼の最初の雪も死ぬ
最初の口づけも 最初の喧嘩も」
- 詞の中にでてくる「クローカ」は後にソユーズ2号に宇宙飛行士と共に
乗せられたライカ犬の名前です。最初に「スプートニク」に乗せられた
ライカ犬(グドリャフカ)から「クローカ」へ「きっと帰って、君だけは
地球に帰ってくれ」みたいな、なんかそういう気持ちを、込めて
「クローカ、クローカ」と作ったわけです。
- この曲は、先に歌詞ができて、保刈君が考えてくれたコードの流れの上で、
殆どアドリブで作りました。
- [願い事]
- 種明かしって言うか、買ってくれた人は、気が付いたと思うんですけれども、
「この「ビリジアンハウスのテーマ(2000.4.2〜)」ってこんな所から
来ていたのね」っていう、 ある人に言わせれば「死霊の盆踊り」なんて
いう副題もついていますが(笑)……。打ち込み中心でイントロを
あさちゃん(ASA-CHNG:朝倉さん元スカパラ、Charaのツアーでご一緒)って
いうパーカッションの人に、その場で急にお願いしたら、「楽器がない、
持ってきてないよー」って言って、その辺を探してごみ箱持って来てくれて
叩いてくれたりとか……。
- 恋をするといつでも、自由に心を遊ばせることができるし、勇気も湧いてくる。
人々の眠る窓を全部たたいて、この人を愛してるといってまわりたい。
例え思うようにいかなくてもただ単純にまっしろい気持ちで人を愛したい。
それが私の願い事。葛生千夏(昔からファンだったんですよ...
声出ただけで違う世界につれてってもらえるんで)さんのコーラスと
エンジニアの松林さんのデジタル民族系(?)のリズムが、この曲を私の
目指していた「奇麗なだけじゃないファンタジー」にしてくれました。
- [ガレキの楽園]
- 「松本大洋」という人「鉄コン筋クリート」っていう漫画があるんですけど、
「太陽は眠っている」(「はちみつ白書」収録)ていう詞をあげた時に、
吉良君がなんかその漫画を思い出して、それで「あの、世界だね」って
言ってくれたんです。私はその時知らなくって、早速本屋に行って読んでみて、
凄く引き込まれちゃって、ずーっと心の中に残ってて、こういう歌が
出来たって感じなんです。基本的に「私」って自分の事を歌うのが、
信条だったんですけど、これに関しては、インスパイアされて創った曲なので、
もう「僕」と唄わざるを得ない気持ちになって唄ったんです。
漫画を知らない人は、これを純粋に聴いてほしいんです。なんかひとことで
言っちゃうと「友情の歌」です。
- 友達は純粋で、人が考えているだけのことにさえ傷ついてしまう。
鏡のように、透明なガラスのように物事をみせてくれる。
この友達のためなら、自分はどんな目にあってもいいと思える。
そういうことを歌いたくて書いた曲です。
このアルバムの中で一番力強い曲だと思います。
- [Flower]
- 「本当の気持ち」とか「想い」とか、あまり外に出せずに、もうホントに
優し過ぎちゃって、 人の事とか、いろんな人の立場に立って考えちゃって、
「なかなか自分の思う事が出来ない」っていう女の子を見てて、
「何か、こういう感じなのかなぁ」と思いながら、彼女を励ます気持ちも
込めて創った曲です。
- まわりの女の子たちを見ていると案外本当の気持ちはしまい込んでしまって、
傷つくよりは何ごとも起こらないで欲しいと思う人が多いように感じます。
一生涯ヒミツにするような思いを、女の子は誰でも胸に抱いているに違い
ありません。それは、太陽がふたつ見えるどこか遠い惑星の風景のように
神秘的。そして男の子たちは、それを知っていて黙っているような気がして
なりません。ずるくて優しい、そんな繊細な心と、細海魚君が演奏する
ウーリッツアの音がとってもぴったり。
- [Orange Noël]
- 三重野瞳ちゃんのアルバム「23.4」を作った時に書いた「ビーシュ」と
いう曲に新たに歌詞を書いてセルフカバーです。その詩を書いている時に
「ノルウェーの森」(The Beatlesの曲)が頭の中で鳴っていたっていう
感じでした。この曲は、全部人でやってるんです。一応自分でギター弾いて
創ったです。(普通は、頭の中でできるのが一番多くて、あとは鍵盤の方が
自由になるんで、鍵盤で創るのですが……)
- 行き違いになってしまった男女は、森ではぐれた子供のよう。
もう一度出逢えるおまじないは?それとも動かずにじっと待っている方が
いいのでしょうか?
- [愛の温度]
- このタイトルを考えた時は、ちょっとね「温度」が「(お祭りの)音頭」と
思われるのがコワかったんですけど……(笑)、 案の定そう思われることも
あったんですね。
- 人は死んでしまっても、愛の温度だけはこの世に存在し続けるような
気がします。この曲はオケができあがって、海の底に沈んだ船が
軋んでいる音に聞こえる部分からイメージして歌詞ができました。
- [Rêve]
- これはフランス語で「夢」と言う意味のタイトル。
地下鉄のザジが、そのまま大人になって、自由奔放になり振り構わず
生きている雰囲気をイメージしています。そうした歌詞の主人公は自分を
信じて奔放に生きる少女です。
- 10年以上も前にフランス語の仮の歌詞をつけてて、この曲を一応完成させて
アルバムに入れたいって思ったんですけど、日本語でどうしても歌詞つけられ
なくて、モチーフのまま眠っていた曲を「ホントに自由に縛られずに、
規則とか法律とか道徳などに縛られずに生きたらどうなるんだろう」と
言うな事をテーマでフランスパリ在住の女性作詩家の方にお願いして
やっと完成しました。
- 私は、だいたい風景とかも、ヨーロッパの暗い風景とかが大好きで、
南国系とか天国系は、余り惹かれるものが無くて、曲も結局そう言う風景の、
ちょっとくらい恐ろしい、どんよりした様な風景が見えてくる曲を
創ってしまうことが多いんです。エンジニアの松林さんがアルバムの他の曲を
聴く前に、純粋にこの曲に一番似合うリズムトラックをつけてくれて、
この曲だけは、ハウスみたいなリズムになっちゃったのは、とっても偶然で、
もう他のいろんなリズム試したんですけども、この一番この曲をあらわす
可愛い可愛いリズムが「これだったのかなぁ」と思って。
そして「60年代のフレンチポップスのカバー」のようになると
おもしろいかな?と言いながら、保刈君が可愛らしく仕上げてくれました。
ちょっと風が吹いて、明るい昼間の歌かな?なんて自分で思っているんです
けど……。
- [音叉]
- 以前、山中湖のスタジオで何気なくピアノをさわっていて出来た曲です。
その後、この曲はいったいどんな風景を歌っているのだろうと3日間ずっと
そればかり考えていたら、草原の上、巨大な音叉がいくつもガラスの
チューブに入って空に浮かんでいる夢を見ました。ガラスの中では
共鳴する事もない音叉。でもいつかガラスが無くなり、一斉に共鳴音が
鳴り響く時がきて欲しい。私は夢の中で、音叉の下をどこまでも歩いて
行こうとしてました。理由もない閉塞感から「解放されること」を
表わしたくて、シンプルなアレンジで、広がるようにしたいと思いました。
- (歌詞の中の「マグリットの空」とは、ルネ・マグリットという
画家の絵をイメージしているようです。)
- [赤い砂 白い花]
- 去年の春、親友がモロッコのマラケッシュで結婚式を挙げることになり、
総勢20名のちょっとしたツアーに参加しました。私はマラケッシュという
土地に魅了され、滞在中はずっと夢をみているようでした。これは結婚式の
前夜に、ホテルの部屋で作った祝婚歌です。ラクダに乗せられたウエディング
ドレス姿の親友は本当に、アフリカの赤い土に咲いた一輪の凛とした花の
ようでした。
- (この結婚式のお話は、99.5.9放送のビリジアンハウスで
詳しく語られています。)
- [降るプラチナ]
- 子供の頃の私の憧れは父でした。8歳の時、父が家に帰らなくなり、
その頃から私は曲を書き始めました。父が出ていったのは自分のせいだと、
子供はどこかで思ってしまうものですが、去年の初夏、すべてを浄化し、
許し、癒してくれるような美しい光景に出会いました。それは公園の中を
歩いていて、とっても良い天気で、夕日が眩しかったんでけれど、とっても
気分良く歩いていたら、突然、天気雨が降ってきて、その雨の全部の粒が
全部光って凄い光景だったんですね。
- それで、なんかこう自分まで洗い流して貰えるような、とっても綺麗に
なれるような、そんな気持ちになった瞬間だったんですけれども、それで、
この世全てに、プラチナが降っていると言う感じがして、浮かんだのが
この曲です。
- チェンバロとピアノとサンプリングで組立てられた音が、その時の情景描写に
なっています。この曲は、小さい頃、父が帰って来なくなったりとかして、
それで悲しかった子供時代とか、そう言う物を思い浮かべると、
眩しかったり、ちょっとフワッとして見えなかったりとか、
そう言うイメージと、その時の天気雨のイメージと重ねて創った曲です。
- [メロデイ]
- 誰かの存在が、私を楽器のようにしてくれて、自然に音楽になってしまう。
「愛する人は音楽そのもののような存在」という気持ちを込めて、
このタイトルにしました。ASA-CHNGの繊細なパーカションと、
今堀恒雄さんのギターがとても素敵な曲です。